冨田勲研究会レポート 第2回 Live At Linz84 「アルスエレクトロニカ40周年でふりかえる冨田勲の描いた世界」

REPORT

2019年105日 
第2回 冨田勲研究会 古賀政男音楽博物館1階「けやきホール」


LIVE AT LINZ
「マインド・オブ・ユニバース」

〜アルスエレクトロニカ40周年でふりかえる冨田勲の描いた世界



 
 今回は84年のリンツ・ドナウ川両岸の地上・川面・上空一帯を使って超立体音響を構成し、8万人の聴衆を音宇宙に包み込む壮大な野外イベント「マインド・オブ・ユニバース」を皆様に知っていただきたく開催いたします。

当時私は現地で体感しましたが、ドナウ川両岸4箇所と3艘の船、さらにはヘリコプターで吊り下げた超巨大スピーカーから音を出すという前人未到の大規模パフォーマンスは、テレビでも何度か放送していただきましたが、画面ではその迫力が伝わらず残念に思っています。
その後、父はニューヨークやシドニー、岐阜など数々の場所にて「トミタ・サウンドクラウド」を実現してきました。
その世界初の音と光が織りなす立体サウンドコンサートがライブアットリンツ「マインドオブユニバース」なのです。

 
 今年の9月、母と二人で同じ会場に行き、当時の関係者や現地プロデューサーにお会いすることができました。
また当時スタッフでいらした千住明さんからは、先日のカノンさんとのラジオ番組「SOUND OF OASIS ~COOL SAKE~」にて、貴重な父との思い出話を伺うことができました。

さらにはアルスエレクトロニカの最新情報レポートを交えて、このイベントに冨田勲は一体どんな意味と未来への可能性をこめたのか、探ってみたいと思います。 


また屋内で体験できる立体音響「サラウンド」レコード制作に冨田勲は晩年力を入れておりました。
1部後半では冨田勲がこだわって制作していたサラウンド作品の鑑賞会をいたします。
開催にあたりご尽力いただきました千住明さん、津田賢吾さん、藤田功博さん、私のラジオの師匠であるカノンさん、JASRACや日本コロムビアの皆様、そして助けてくださる後輩達に心から感謝いたします。これからも冨田勲の音楽を通して冨田マインドが次世代に受け継がれますことを願っております。

冨田勲研究会・ TOMITA information Hub 主催 妹尾理恵

 


プログラム前半
「アルスエレクトロニカ40周年 最新現地レポート」

はじめに今年40周年を迎えたアルスエレクトロニカの2019年最新の現地取材レポートを藤田功博氏にお届けいただきました。
そして後半には、4チャンネルサラウンドによる冨田勲シンセサイザー作品の鑑賞会を行いました。


藤田功博
企画会社 「株式会社のぞみ」を立ち上げ、代表取締役に就任。以来、京都を主軸にしたコンテンツの企画・制作でベストセラーを数多く生み出しているほか、独自性の高い京都ツアーのコーディネート、京都の文化をテーマにしたイベントプロデュースなどを行い、年間5万人を動員している。過去には京都市・京都商工会議所 専門家アドバイザーとして外資系ホテルや伝統工芸メーカー、大手ドラッグストアの経営コンサルティングを手がけた。


4チャンネル・サラウンド音響による冨田勲シンセサイザー作品鑑賞会

『特別プログラム(30分)』①・交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』の冒頭+アメリカ「NASA」の字宙ロケット打ち上げ基地の情景(トミタサウンドクラウドバージョン)作曲:R・シュトラウス ②【惑星・PLANETS ULTIMATE EDITION】より・火星・水星・木星、作曲:ホルスト ③【月の光ULTIMATE EDITION】より・沈める寺(前奏曲集 第1巻より第10曲)作曲:ドビュッシー ④【バミューダ・トライアングル】より・蛍光色に光る宇宙服を着たヴィーナス“未知との遭遇"  作曲:J・ウィリアムズ・地底王国アガルタで遊ぶ子供たち“交響曲第5番、第二楽章”作曲:プロコフィエフ ⑤【オホーツク幻想】より・亡き王女のためのパヴァーヌ、作曲:ラヴェル ⑥【火の鳥 】より・フィナーレ、作曲:ストラヴィンスキー

プログラム後半
講演 「LIVE AT LINZ〈マインド・オブ・ ユニバース〉の舞台裏」


後半は、「ライブアットリンツの舞台裏」として、冨田勲さんと親交が深かった作曲家の千住明氏をお招きして、貴重なお話を伺いました。ナビゲーターは、シンガーソングライターのカノンさんです。

千住明さんは、LIVE AT LINZに出演されたヴァイオリニストの千住真理子さんのサポートとして実際に現地でLIVE AT LINZに参加されました。LIVE AT LINZのライブ映像を観ながら冨田勲さんとの思い出や劇伴作曲家からアーティストへと移っていった冨田勲さんの真髄についてもご自身の経験をまじえて分かりやすくお話しくださいました。

千住明
1960
年東京生まれ。東京藝術大学作曲科卒業。同大学院首席修了。修了作品は史上8人目の東京藝大買上(かいあげ)となり、同大学美術館に永久保存されています。代表作に、ドラマ「砂の器」のピアノ協奏曲「宿命」、「四季」、「日本交響詩」、オペラ「万葉集」、「滝の白糸」などがあります。2018年には中国ミュージカル「白夜行」上海初演をおこない、大盛況のもと中国全国ツアー中です。その他、映画「黄泉がえり」「追憶」、ドラマ「ほんまもん」「風林火山」、アニメ「機動戦士V(ビクトリー)ガンダム」「鋼の錬金術師FA(フルメタル アルケミスト)」、NHKスペシャル「平成史」、NHK8K「ルーブル美術館」、TBS&ウィーン美術史美術館「Glorious Museum」等、多数の音楽も担当されています。東京藝術大学特任教授。東京音楽大学特別招聘教授として後進の指導にもあたっています。


カノン
幼少期、アメリカ·ニューヨークに滞在、帰国後、中学校3年生でオーストラリアへ移住。オーストラリアのカトリック系高校の「聖歌隊」へ入り、ヨーロッハ
゚各地を回る。このヨーロッパツアーでは聴覚、視覚に障害のある学生達の前でもコンサー トをしました。賛美歌を通して「音楽は国境を超えること」を知り、15 歳で歌で生きていくことを決意。聖歌隊では日本人初のリードボーカルとなります。本格的に音楽を志し、クイーンズランド州立音楽大学声楽科へ入学しコンクールでも優勝。卒業後、日本へ帰国、2004年にソニーミュージックよりデビュー。ヒーリングを超えた聖なる歌声と称され、クラシックとポップスを融合させた「クラシカル·クロスオーバー」アーティストとして注目を集めています。また酒サムライの妹尾理恵さんをパーソナリティーに迎え、日本酒と冨田勲さんの音楽をテーマにしたラジオ番組「SOUND OF OASIS ,COOL SAKE」を現在放送中です。


カノンさん、千住明さん


84年LIVE AT LINZ 左から千住明さん、千住真理子さん、冨田勲さん、桂こうへいさん、山口五郎さん



アルスエレクトロニカ共同創設者Hannes Leopoldseder氏による
1984年Live At Linz「マインド・オブ・ユニバース」での冨田勲とのエピソード(インタビュー:2019年9月)

アルスエレクトロニカブログ Hannes Leopoldseder「未来のために生きた人生」
https://ars.electronica.art/aeblog/en/2021/02/15/hannesleopoldseder/


左からロバートモーグ博士、レオポルドゼター氏 冨田勲氏


「LIVE AT LINZ〈マインド・オブ・ ユニバース〉」資料

1984年9月8日Live At Linz『マインド・オブ・ユニバース』  ドナウ・パーク全域、3隻の移動する舟によるドナウ川上、ヘリコプターによる空中から成る、初めての超立体音響によるコンサートを試み、『宇宙讃歌』をテーマに地球誕生から宇宙の行進までの壮大なストーリー『マインド・オブ・ザ・ユニバース』を展開します。 レーザー光線、照明効果、花火等が加わり、この模様はオーストリアの国営放送局「ORF」によりヨーロッパ全域とアメリカの主要都市で放送され、日本ではNHK特集で「冨田勲の世界」として放送されました。共演者はバイオリニストの千住真理子さんと、オーストリアの200人のコーラス、そして、尺八の山口五郎氏。話はそれますが、山口氏の演奏による日本の古曲「鶴の巣籠り」は、アメリカの宇宙科学者カール・セーガン氏の企画による、惑星探査機ボイジャーに載せられた、宇宙の知的生命体に贈る金のレコード「地球の音」の中に、日本の曲を代表して収録されており、現在太陽系の外へ出て10億年という途方もない宇宙のあてどのない旅に出たばかりです。  山口氏はドナウ川に浮かべた日本風の小舟に乗り同曲を演奏し、冨田氏はシンセサイザーにより広大な宇宙を表現するために、ドナウ川の向こう岸と、背後のドナウ・パークに合計8本のスピーカー・タワーを立て、ほぼ600メートル四方を電波天文台で受けた宇宙からの電波を音に変換したものを交えて、ゆっくりと音を回しながらボイジャーが銀河系の中を旅している姿を表現しました。  フィナーレは『宇宙讃歌』ということで、ベートーベンの第九シンフォニーの「合唱」を演奏し、ドナウ川上のステージの合唱団とヘリコプターによる600メートルの上空からのバリトン・ソロ「オー・フロインデ・・・」と共演しました。クラシック、ロック、現代音楽といったジャンルを超えた圧倒的サウンド・パフォーマンスは、約8万もの大観衆を釘づけし、『トミタ・サウンドクラウド』の名を一躍世界的なものへと高めました。






《イベントの企画意図》

「Mind of The Universe」 この企画は、このイベントに参加してくる数万人の聴衆、或いはメディアを通して、多くの人々がこのサウンドを聴きながら、宇宙をメディテーションすることにより、偉大な神々の創造した壮大な宇宙への想いが、オーストリアと日本はもとより、世界中の、そして広く宇宙全体の人々の、 より一層のコミニュケーションができる架け橋となることを願っています。冨田勲 (84.6.6 企画書から)

 

《概要》

「Mind Of The Universe」はドナウ川の上に13チャンネル・ステレオのサウンドによる宇宙を造り、レーザー光線や特殊効果による照明を組み合わせて、宇宙のはじまりから、銀河系、星雲、恒星、惑星など星系の創造 、さらに地球上に於ける生命の創造、人類の宇宙進出とその未来を表現しようとするものです。つまり180億年の「宇宙史」 を、ドナウ川の上につくりだす立体音舞空間と照明で体験しようというわけです。 映画 「2001年宇宙への旅」で、地球から宇宙基地へ向うスペースシャトルの背景音楽に Johann Strauss 作曲の“An Der Schonen Blauen Donau" が流れた時のすばらしさがこのプログラムのヒントとなりました。 冨田勲  (84.6.6 企画書から)

 

《各章の楽曲構成とストーリー》(全6章から構成されている)

・楽曲は1984年9月8日に実際に行われたプログラムからのものです。

・ストーリーは冨田と長年タッグを組んできた作家・小松左京氏と相談して作り上げたもので、簡潔にまとめられたストーリーがプログラムに掲載され観客に分かるようになっていた。

 

出演:冨田勲(音場構成など)、千住真理子(ヴァイオリン)、山口五郎(尺八)、リンツ・ランデステアター合唱団ほか



はるかな太古....
この大宇宙のすべての物質と時間と空間は、 一つの小さな塊り「宇宙卵」の中におしこめられていた。
180億年前 突如その塊りは大爆発を起こし、 火球は四方へ向ってはてしなくひろがりはじめた。
ひろがるにつれて、原子がつくられ、元素がうまれ、 無数の銀河やガス星雲が、そして恒星と惑星がつくり出され、 やがてその惑星のあるものの上には「生命」が誕生した。
生命は進化し、巨大化し、その中から知能が、技術が、文明がうまれ.. そして人類は、再び「母なる宇宙のよぶ声」にひかれるように、 広大な空間へ向ってはばたこうとする。
宇宙の始元から、現在の我々の存在をこえ、遥かな未来へかけて、 ドナウ川の上に一つの巨大なサウンドと光の流れを浮上させたい。



 

PART 1 BIG BANG

【楽曲構成】

ⓐ “交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』の冒頭の22小節まで “「リヒャルト・シュトラウス」

ⓑ “組曲『惑星』~土星 “「グスターヴ・ホルスト」


【ストーリー】宇宙は最初は素粒子だけの小さな塊りであったといわれています。それが大爆発を起こし急激な膨張をはじめる。暗黒、強烈な白光が大音響とともに四方へ広がり、光の粒 がはじけ、渦まき、上昇する。現われかけては消える楽音、それが次第にメロディー を形成し、うねり、クロスし、ふいにノイズが張れ、重く激しいメロディーに変る。

 

PART 2 THE CLEANING UP OF THE UNIVERSE

【楽曲構成】

ⓐ『ローマの松』~アッピア街道の松 「オットリーノ・レスピーギ」

ⓑ"前奏曲第10曲 『沈める寺』"「クロード・ドビュッシー」

ⓒ 土星の輪を通過する際にNASAが捉えた宇宙音を再現


【ストーリー】膨張をつづける宇宙の中で火球はちぎれ、そのブロック群相互の距離も離れてゆく。

個々のブロック内では物質は凝縮し、やがて銀河系が形成されはじめる。ガス状球体だったブロックは縮まるにつれて運動も回転運動に統一されてゆく。個々の銀河系の星間物質の雲から恒星が生まれ、惑星が生まれる。音楽は種々のエレメントを含みつつ「壮大な宇宙の創造」をシンボライズして壮大でシンフォニックなものから、やがて軽快な明るい回転のあるものへと移ってゆく。

 

 

PART 3 BIRTH OF LIFE

【楽曲構成】

ⓐ “『展覧会の絵』~こびと “「モデスト・ムソルグスキー」

  “『ブラジル風バッハ』~NO.4-1 前奏曲 “「ヴィラ・ロボス」

ⓒ “『春の祭典』~乙女達の踊り “ 「イーゴリ・ストラヴィンスキー」

ⓓ "鶴の巣篭もり “ 「日本に於ける伝統的な尺八の曲」 +宇宙探査機ボイジャーの捕えた宇宙サウンド

ⓔ “『ダフニスとクロエ』第2組曲~夜明け" 「モーリス・ラヴェル」

 


【ストーリー】四十五億年程前、太陽系が誕生しました。原始の地球の大気には、まだ酸素はなく、炭酸ガス、窒素、あるいは、一酸化炭素などがあるだけでした。
最初の生命は、この「原始の海」の中で発生した細菌や酵母のようなものだったであろうと思われます。
そして太陽の光と炭酸ガスから栄姿をつくる「植物 」が発生し、その植物が放出する酸素が大気中に次第にたまってくると、今から二十億年程前、今度はその酸素を利用して活発に動きまわる「動物」が発生しました。
そして今から十億年程前、大気中に酸素が2%程溜まると、生命に有害な紫外線を遮るようになり、一部の生き物たちは陸上へ進出を始めます。
雨、風、嵐、雷、そして乾き切った灼熱などの新しい現象が、生物たちのくらしの環境にあらわれます。
やがて空には鳥の姿が、地上には哺乳類の姿が現われます。
火山の噴火や地震をともなう激しい造山運動が続き、氷河期、乾燥期が何度も訪れますが「進化の行進」はそれをのりこえて続きます。
やがて人類とその文明の出現です。すぐれた知能で文明を発展させた人類は、ある時は仲間同士戦い、またあるときは天空高くのび上っていく巨大な建造物を、造っては壊し、宇宙と地球の進化を受けついだその歩みを続けていきます。

 

PART 4 CALL FROM THE UNIVERSE

【楽曲構成】

ⓐ“あげひばり" 「ヴォーン・ウィリアムズ」

ⓑ“未知との遭遇" 「ジョン・ウィリアムズ」

ⓒ“ヴァイオリン協奏曲 第1番- 第3楽章 “「セルゲイ・プロコフィエフ」

ⓓ “ 三星のカノン" 「ヨハン・パッヘルベル」

ⓔ" トリスタンとイゾルデ ” ~「愛の死」「リヒャルト・ワーグナー」

 


【ストーリー】このパートは、前半と後半の「人類は宇宙へ」のダイナミックでメカニックな展開とをつなぐ、美しく、象徴的な間奏部にしたいと思います。「陸上」へ進出した生物たちは、はじめて夜空にきらめく数々の星を見ました。天空に無数に散りばめた不思議な光を.....

特に他の生物となみはずれてすぐれた知能をもった人類は、この夜空の星に、無限の神秘と謎を感じ、そのささやきかけるような星のきらめきに、宇宙からの呼びかけを聞きとろうとしています。

人は何故、宇宙にあこがれるのでしょうか?

「この部分は宇宙探査機ボイジャーがとらえた宇宙のサウンドで演奏するオーケストラを宇宙からの呼びかけとし、実験のヴァイオリンがそれに応えるようにドナウ川に浮んだ舟上で演奏する。

それはまた、地上の人間が、宇宙へ対する呼びかけでもある。

やがて、遥か彼方から不思議な光を点滅させながら、その呼びかけに応ずるように一機のUFO (ヘリコプター)が出現する。そして映画「未知との遭遇」の名場面がそこで展開される。

ヴァイオリンの問いかけたメロディーに対して相手は光を発しながら低音で応じてきました。どうやら彼等は我々と友好的なコミュニケーションを望んでいるようです。

そして再会を約束し、UFO は再び光を点滅させながら去っていく」

 

 

PART 5 MAN INTO THE UNIVERSE

【楽曲構成】

ⓐ “組曲『惑星』~火星・海王星 ・木星 「グスターヴ・ホルスト」


【ストーリー】いよいよ人類の「宇宙時代の開幕」が訪れます。

最初、肉眼で星を観察しながら思索し、計算し、その動きや距離をはかっていた人類は、やがて大口径、高性能の望遠鏡を次々につくり出し、計測装置もますます精密になり、また電波や赤外線、エックス線などの新しい情報によって、より深く、広く、正確に、宇宙の姿を知るようになってきました。

そして遂に人類は、自分たちの仲間を四十億年の地球生物進化史の中ではじめて地球大気圏を離れて、宇宙空間へ、他の天体へと送り始めます。

無人探査機は、太陽系の惑星を次々と訪れて、その正確な姿を我々に知らせはじめます。

人類は、何世代か、何世紀かかけて、「地上的問題」を解決しつつ、やがて本格的に. 宇宙進出をはじめる事でしょう。私たちの何代かあとの子孫は、地球的環境を完全に離れて、月や、火星や、宇宙空間に住みはじめる事でしょう。ちょうど十億年前の地球の生物が、そのふるさとである海をはなれ、さまざまの異る条件や、太陽や宇宙からの放射線、風雨や雷や、激しい寒暖の差、洪水、乾燥といった危険にみちた陸上に進出したように。

更にその先人類は、太陽系をも離れ、遠く銀河系の恒星空間へものりだしていくでしょう。

 

 

PART 6 宇宙讃歌

【楽曲構成】

ⓐ "「交響曲第9番」歓喜の歌 " 「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」

ⓑ "「火の鳥 」フィナーレ” 「イーゴリ・ストラヴィンスキー」

 


【ストーリー】一旦遠ざかった異星人の宇宙船がライトを変えて再び近ずいて来ました。
今度は向うからメロディーで問い合わせてきました。
よく聞くとそれはベートーヴェンの第九シンフォニーの第四楽章のメロディーです。ライトを点滅させながらこちらも歌うよう合図をしています。彼等はすでにこのベートーヴェンの名曲を知っていたのでした。
ドナウ川のほとりのライトも一斉に光り、レーザー光線によるコンダクトで我々の合唱団も歌い出し、そしてドナウ川のほとりに集った八万人の聴衆も歌いだし宇宙讃歌となり、フィナーレへと導入します。




冨田勲研究会スタッフと出演者

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